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専門医からのメッセージ

弁膜症の疑いがある方へ、弁膜症と診断された患者さんへ。

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室生 卓 先生

医療法人社団 倫生会
みどり病院 院長
心臓弁膜症センター 内科

はじめに

近年、心臓弁膜症の患者さんは、増加してきています。なかでも、多くみられるのが大動脈弁狭窄症です。ここでは大動脈弁狭窄症の疑いありと言われた場合を例にとってどう対応すればよいかをお話します。

楽観してはいけないが、悲観する必要もない

かつて、大動脈弁狭窄症はリウマチ熱にかかった後に発症することが多かったのですが、日本では現在リウマチ熱を原因とする大動脈弁狭窄症は激減しており、代って動脈硬化に伴う弁膜症が増加しています。食生活の欧米化などが進んだことで、動脈硬化が体のあちらこちらを蝕むようになり、その弊害が心臓の弁にも現れているのです。高齢化社会を迎えたことも、弁膜症の増加に拍車を掛けています。弁膜症はもはや、珍しい病気ではありません。
この病気は、はじめは何の自覚症状も無いために見過ごされることが多く、しかし、ひとたび発症すると徐々に進行して、三大徴候(胸痛・失神・心不全)が出現するようになります。治療しないで放置すれば、時に突然死に至る事もあります。
でも、心配は無用です。なぜなら、この病気は手術で治すことができるのです。弁膜症を甘く考えてはいけませんが、正しく診断され的確に治療されれば、悲観する必要もありません。そして、大動脈弁狭窄症は高齢者の多くに見られる疾患で、軽度であれば診断されても一生手術をしないですむ方も多くいます。

心雑音が聞こえると医師から言われた方へ

弁膜症は、健康診断等において聴診上の心雑音として発見されることがあります。その場合は、必ず心エコー検査(心臓超音波検査)を受けてください。全く痛みを伴わず短時間で終わる検査ですが、この検査を受けることで「自分は本当に弁膜症なのか、ほかの病気ではないのか?」(確定診断)、「初期の段階なのか、それとも重症なのか?」(重症度判定)、「手術が必要なのか、それともまだ手術しなくても良いのか?」(治療方針決定)といった診断の3要素が明らかになります。
自己判断で「大丈夫、たいしたことは無い」と高を括ったりせず、また逆に「もうお仕舞だ」などと嘆いたりせず、心雑音があると言われたら心エコー検査を受け、正確な診断を受けることが大切です。軽症のうちであれば、血圧のコントロールや糖尿病や脂質代謝異常に対する内科治療で経過観察が可能です。

弁膜症と診断されている患者さんへ

既に弁膜症の診断を受け、何らかのお薬を飲んでいる患者さんは、担当医の指示に従ってください。その場合でも、1年に1度の定期的な心エコー検査は必要です。なぜなら、弁膜症はお薬で完治させることはできず、進行性の疾患だからです。一方、弁膜症と診断されたにもかかわらず、症状が無く生活上の不都合も無いことを理由に、通院を止めてしまう患者さんが時に見受けられますが、定期的な心エコー検査だけは必ず受けるようにしてください。知らず知らずのうちに進行していて、手術が間に合わない状態になっていたのでは大変です。
弁膜症の治療において、初期にはお薬を飲む内科的治療で対処しますが、進行した場合には手術で完全治癒を目指します。胸を開いて心臓を露出させる大掛かりな手術ですが、弁の形を整えたり(弁形成術)、新しい弁に取り替えること(弁置換術)で、心臓は正常な機能を取り戻します。わが国の手術成績は極めて良好ですから、怖がらずに適切なタイミングで手術を受けることが大切です。

おわりに

弁膜症は、もはや珍しい病気ではありません。しかし、診断されないまま未治療の患者さんが多くいらっしゃるのが現状です。医療の進歩に伴って、弁膜症も手術で完全に治せるようになりましたが、未だ多くの患者さんが手術を受けられないのは残念です。原因のひとつは、患者さんの病気に対する認識にあると思います。過度に恐れず、また安易に考えず、まずは心エコー検査を受けることから始めてみてはいかがでしょう。放置することが一番よくありません。
弁膜症と診断された患者さんであっても、定期的な心エコー検査を受けることは手術のタイミングを逃さないために重要です。定期的に検査していれば急な手術が避けられ、お仕事や生活のご都合に合わせて計画的に手術を受けることができます。そして正常な心臓の機能を取り戻し、健康な生活が送れるようになるのです。以上のことから心エコー検査の大切さを、ご理解いただければ幸いです。

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