心不全の原因の一つでもある心臓弁膜症。
症状の出始めを見逃さずに、「ちょっとしんどいな」と思ったら、早めに医師に相談しましょう。
また、健康診断で心雑音を指摘されることがきっかけで、心臓弁膜症が発覚する場合もあります。
65歳を過ぎたら、定期的に心臓の検査を行い、早めに病気を発見できるよう気をつけましょう。
一般的に心臓弁膜症の検査は、循環器科で行われます。
心臓弁膜症の診断は問診、聴診、心エコー図検査で行われます
問診では、「息切れ」「胸の痛み」「ドキドキ」などの自覚症状、日常生活でどれくらい不自由を感じているかなどを確認します。
チェックシートを印刷し、病院の受付か医師に手渡してもよいでしょう。問診時に自分の症状を伝えやすくなります。
昨今の新型コロナウィルス感染症の影響により、視診や触診による身体所見が以前より難しくなり、自覚症状を聞き出す問診の役割がより一層重要になってきています。また、オンライン診療による問診も、感染リスクを低減しながら心臓弁膜症の早期発見のきっかけとなる可能性があるでしょう。
心エコー図検査による定期的なフォローアップが重要です
心臓弁膜症は、症状が体に現れなくても進行する場合があります。このような「無症候性弁膜症」に対しては、心エコー図検査(超音波検査)を用いて、定期的なフォローアップを行うことが推奨されています。心臓弁膜症は進行性の病気であることから、定期的なフォローアップを行い、適切な介入治療のタイミングを見逃さないことが大切です。
重症度によって、「無症候性弁膜症」も介入治療の適用になる場合があります。
無症候性弁膜症患者に対する心エコー図
検査のフォローアップの頻度の目安*
心臓弁膜症の種類 | ||||
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大動脈弁 狭窄症 (AS) |
大動脈弁 閉鎖不全症 (AR) |
僧帽弁 狭窄症 (MS) |
僧帽弁 閉鎖不全症 (MR) |
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軽症 | 3~5年ごと | |||
中等症 | 1~2年ごと | |||
重症 | 6~12ヵ月ごと | 6~12ヵ月ごと
※左室拡大症例は、 |
1年ごと | 6~12ヵ月ごと
※左室拡大症例は、 |
心臓弁膜症の治療方針を決めるための検査があります
心臓弁膜症と診断されたら、治療方針を決めるために、さらに詳しい検査を行います。心機能全体の状態や他の臓器への影響、合併症(心房細動、肺うっ血、心不全など)が併発しているかなども調べます。
心臓弁膜症の検査
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心エコー図検査
(超音波検査)弁膜症診断で最も重要な検査です。弁の狭窄や逆流の有無とその程度、心臓肥大の程度や心機能がわかります。
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心臓CT検査
弁やその周りの石灰化、血液循環の状態を調べます。
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心電図検査
不整脈の有無、心臓肥大の状態がわかります。
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胸部X線検査
(レントゲン)心臓の大きさや形を判断します。
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心血管造影法
心臓やその周りの血管の形状や血液循環の状態を調べます。
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心核医学検査
(アイソトープ検査)心筋の血流状態や動きを調べます。
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf(2020年4月20日閲覧)