Skip to main content
Ben Makusho Logo

人工弁の選択

人工弁には生体弁と機械弁があり、それぞれ特徴があります。そのため、年齢や症状、術後の生活の質(QOL)を考え、生体弁と機械弁のメリット、デメリットを理解した上で、医師とよく相談して適切な弁を選択することが大切です。

生体弁のメリット、デメリット

生体弁は機械弁と比較すると劣化しやすいため耐久性が低く、再手術が必要になることが多いといわれています。しかし、劣化は急に進むことは稀で、「来年くらいには取り換えましょうか?」といえる程度の時間の余裕があるので、再手術は計画的に行うことができます。 生体弁は一般的に、僧帽弁位よりも大動脈弁位のほうが長持ちする、若年者よりも高齢者のほうが長持ちすると言われています。外科的治療(弁置換術)後、生体弁の機能不全などが生じて再び手術が必要になった場合、カテーテルを使って新しい弁を植え込み、弁が適切に機能するよう治す方法もあります。(valve-in-valve:バルブ・イン・バルブ)
また、血栓ができることを防ぐために抗血液凝固剤(ワルファリン)を服用する期間は、術後医師の判断によりますが3か月程度です。
それ以降は術前と同じような食生活や運動をすることが可能であり質の高いQOL(生活の質)を送ることができます。

機械弁のメリット、デメリット

機械弁は生体弁と比較して耐久性に優れているため、再手術になることは少ないとされています。しかし、機械弁に血栓が付着して開閉がうまくいかなくなることがあります。そうなれば緊急手術を要することもあります。
また、抗血液凝固剤(ワルファリン)を生涯にわたり服用する必要があります。抗血液凝固剤の適正量は患者さんによって異なり、適正量を確認するために定期的な血液検査が必要です。また、抗血液凝固剤を服用していると血が止まりにくくなるため、出血のリスクを避ける必要があります。出血のリスクは歯磨き、ひげそり、包丁を使う時など、日常生活の至る所にあるので注意が必要です。
さらに、他の病気で手術の必要が生じた時にはいったん抗血液凝固剤の服用を中止し、その間は点滴薬を投与するなど、注意深い管理が必要になります。

Biological and mechanical valve
Biological and mechanical valve
Biological and mechanical valve

※日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会合同ガイドライン, 2020年改訂版 弁膜症治療のガイドライン

https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/04/JCS2020_Izumi_Eishi.pdf(2020年7月15日閲覧)