監修
-
渡辺 弘之先生
東京ベイ・浦安市川医療センター循環器内科/ハートセンター長
-
田端 実先生
順天堂大学 心臓血管外科 主任教授
国家公務員共済組合連合会 虎ノ門病院 循環器センター外科/特任部長
手術後の抗血液凝固療法について
弁置換術を受けた方は、血栓ができるのを防ぐため、術後に血が固まりにくくなるお薬を飲む「抗血液凝固療法」が必要になります。
抗血液凝固療法が必要な期間は、人工弁の種類によって異なります。機械弁を植え込んだ場合は、生涯にわたり必要となります。生体弁を植え込んだ場合は、術後3か月間程度の使用が推奨されています。心房細動など抗血液凝固療法が必要な疾患がある場合はこの限りではありません。
抗血液凝固剤服用の注意点
抗血液凝固剤を服用する際は、守っていただきたいことがあります。
ワルファリンなどの抗血液凝固剤は血液を固まりにくくする薬で、人工弁と血液の接触によって起こる血栓を予防するために服用します。服用中は以下のような注意が必要です。
定期的に検査を受けてください。
薬の量は、その時の心臓や体の状態によって決められます。そのため、定期的に検査を受けることが必要です。また、薬の効きめには個人差がありますので、医師の指示通りに飲んでください。
飲み忘れないようにしてください。
医師から言われた通りの薬の量を飲んでください。また飲み忘れを防ぐために毎日同じ時間に飲むことをお勧めします。
薬を飲み忘れた場合は気づいたらすぐに1回の量を飲んでください。
もし、飲み忘れた場合には、気づいたらすぐに1回の量を飲んでください。次の日まで気がつかなかった場合には、飲み忘れた分は一緒に飲まず、その日の量を飲むだけで結構です。絶対に飲み忘れた分をまとめて飲まないでください。
食事制限があります。
ビタミンKは抗血液凝固剤の働きを妨げる可能性があります。ビタミンKを多く含む納豆やクロレラを食べることは避けてください。また、緑黄色野菜にもビタミンKが多く含まれますので、一度に大量に食べないようにしてください。
出血に注意してください。
抗血液凝固剤により血液が固まりにくくなっているため、出血すると止まりにくくなります。ケガなどによる出血には、十分気をつけてください。
次のことをする時は必ず主治医に相談してください。
- 手術や歯を抜くなど出血する可能性のある手術や歯科治療を受ける時
- 他の薬を飲む時や、今一緒に飲んでいる薬をやめる時
- 風邪薬など薬局で買う薬を飲む時
次のようなことが起きた場合は、主治医に相談し指示に従ってください。
- 切り傷からの出血が止まらない
- 鼻血が止まらない
- 歯ぐきからひんぱんに出血する
- あざ(皮下出血)がよくできる
- 尿や便に血が混じる
- 一時的に、言葉や意識を失った
- 異常な痛みや腫れ、不快な症状が続く
- 人工弁(機械弁)の音がいつもと違う